試合当日の食事とコンディショニング

こんにちは!

Sport Trainerの安藤です!


試合当日にベストなコンディショニングをもってくるにはどのような食事をすればいいのか!?

というところで前回は『1週間前からのコンディショニング』のお話をさせていただきました。前回お伝えしたかった内容は、いかに試合当日までの1週間のコンディショニング(食事)が重要なのか!と言うことです。


一方で試合前日から当日にかけての食事は試合に必要な体力や集中力を持続させ、勝利へ近づける為に欠かせません。

試合でパフォーマンスは良かったのにも関わらず、試合途中で「足がつってしまった。」「熱中症になってしまった。」などコンデションだけでなくパフォーマンスまでも落としてしまって悔しい思いをしたことはありませんか!?


「食事で試合に勝つことはなくても、食事で試合に負けることはある」とも言われるように、試合前に食べたものによって競技のパフォーマンスが大きく落ち、本来の力を出しきれないということは十分に起こり得るのです。


そこで今回はBest Conditionで試合に臨み、試合でBest Performanceができる食事方法についてご説明していきます。


試合前の食事の役割

試合前の食事に求められる役割には、下記のものが挙げられます。

◆筋肉のエネルギー源としての「筋グリコーゲン」を蓄えること

◆脳・神経のエネルギー源としての「肝グリコーゲン」を蓄えること(あるいは血糖値を維持すること)

◆コンデションを整えること

◆体温を上昇させ、やる気を起こすこと

◆空腹感をなくすこと(エネルギー不足を避ける。)

◆消化に時間のかかるものは避けること

◆腸内にガスが溜まるものは避けること

グリコーゲンとは体全体に貯蔵されている糖質で、脳や赤血球を除くほとんどの細胞に存在するものです。肝臓では、血糖値が下がるとその維持のためにグリコーゲンの分解が起こり、糖分が血液中に放出されることで体にエネルギーを供給します。

また筋肉にもグリコーゲンが貯蔵されており、運動の際に血糖の利用のみでは不十分な際には筋グリコーゲンを分解することでエネルギー源として利用されます。

試合やレースの成果には、このグリコーゲンの貯蔵量が大きく関わっているのです。


【試合前日の食事のポイント】

糖質中心の食事に


試合当日に、運動時の主なエネルギー源であるグリコーゲンを十分に蓄えておくために、糖質(炭水化物)中心のメニューにすることが基本になります。


糖質源としては、ごはん・パン・うどん・果物などがおすすめです。

カステラやまんじゅうなどの和菓子類も糖質を多くとれて、かつ脂肪分は少ないので間食におすすめです。

しかし洋食の場合は少し注意が必要です

パンでもデニッシュやクロワッサンは脂肪分が多いので控え、食パンやコッペパンの方がおすすめです。また、脂肪分になるバター・マーガリンなども控え、糖質をとれるはちみつやジャムを利用しましょう。

量は控えめに、夕食は早めに十分にエネルギーを蓄える一方で、体が重くならないよう注意しなければなりません。前日の練習は軽めで調整しますので、食事も全体的なボリュームやカロリーを軽めにしましょう。

また夜遅くに食事をとると、寝る時間になっても食べ物の消化が終わらず、睡眠の質が落ちてしまいます。試合前日の夕食は寝る3時間前にはすませるようにしましょう。

※試合が早朝の場合は前日の食事時間を早め、試合当日は糖質を中心とした軽食を摂るようにしましょう。

ビタミンをとる

ビタミンはエネルギー代謝や、体調を整えるために欠かせないので不足しないようにとります。特に糖質からのエネルギーを産生する際に必要なビタミンB1は不足しやすいの注意しましょう。

ビタミンB1は豚肉、豆類、玄米などに多く含まれていますが、試合前は主食中心となるため、どうしても不足しがちです。とりきれない場合はサプリメントの摂取も検討しましょう。

また、ビタミンB1が欠乏すると最大酸素摂取量が低下するという研究結果もあります。

脂質は控える

試合前は緊張感も高まりストレスがかかりやすいです。ストレスがかかると消化機能も低下するので、胃内滞留時間が長く、消化吸収に時間がかかる脂肪分は控えるようにしましょう。

脂肪分の多い食品は脂身の多い肉や、天ぷらやフライなどの揚げ物、ドレッシングやマヨネーズになります。ゲン担ぎでカツ丼を食べるのはあまりおすすめできません。

洋食や洋菓子は脂肪分が多くなる傾向にあるため、和食中心のメニューがおすすめです。

食物繊維は控える

胃もたれや、便秘予防のために食物繊維を多く摂られる方もいらっしゃいますが、かえって胃腸に負担をかける食事になるため試合前日や試合前には不向きな食事です。

また、食物繊維のとり過ぎは腸内にガスがたまりやすくお腹が張ったり、下痢を引き起こす原因にもなりかねませんので、野菜や海藻類・きのこ類は控えめにする方がよいでしょう。

栄養不足が気になりますが、ビタミンは野菜ジュースやフルーツジュースを活用してとりましょう。

※野菜ジュースはまれに食物繊維を多く添加しているものもございますので、栄養成分表示をよく確認して下さい。また、カゴメの『野菜生活』はビタミンが豊富で食物繊維が少ないのでお勧めですよ。食物繊維は1本あたり1~2g程度ならいいですが、あまり多いものは避けて下さい。

安全性・衛生面に注意する

1週間前の食事と同様に、食中毒を防止するために刺し身や牡蠣などの生ものは控えましょう。おかずも作り置きして何日も経ったものではなく、なるべくその日に作った料理を食べるようにして下さい。

生野菜は茹でて調理すれば、消化がよくなるだけでなく食物繊維の量も減るので一石二鳥です。また、牛乳を飲むを下痢をしやすい方は乳製品も控えましょう。

お酒は飲まない

お酒に含まれるアルコールは飲み過ぎればもちろん二日酔いで影響が出る恐れがあり、ほどほどの量だとしても睡眠の質を下げてしまいますので、ベストコンディションで挑むためには飲まない方がよいでしょう。

また利尿作用によって体の水分が抜けてしまい、熱中症や足がつる原因にもなるので十分に注意しましょう。


試合当日の食事方法

試合当日の食事は前日の食事と同様に糖質中心の食事を心がけましょう。また、試合当日は食事と摂るタイミングにも十分に注意しましょう。

試合開始の3~4時間前に食べる

試合当日の食事は、試合開始までの時間と消化吸収時間を考慮したうえで食事時刻を設定し、献立や補食の食品を選択します。タイミングとしては試合開始の3~4時間前までにとれるようにしましょう。

※マラソンのレースが朝8時にスタートとすると、朝の4時から5時の間に済ませるようにしましょう。その時間よりも遅くなってしまうと、消化に十分な時間がとれない可能性があります。胃の中に未消化の食べ物がある状態では、競技中の不快感、パフォーマンスの低下を引き起こす原因になりますので注意しましょう。

朝食のメニュー例

下記は体重60kgの男性マラソンランナーを想定した食事です。メニューは前日と同じように糖質中心の主食(ごはん・パン・うどん・もち)+果物を基本にし、消化のよいものを食べるようにしましょう。

食べる量は腹八分目を心がけて下さい。無理にたくさん食べようとせず、もし緊張感などであまり食べれなかった場合には、後でおにぎりやエネルギーゼリーなどの軽食で栄養補給しましょう。

<おすすめの食べ物>

おにぎり(具は梅干しやおかかなど)

もち

食パン(はちみつやジャムをたっぷり塗る)

コッペパン

うどん

そうめん

バナナ

果汁100%のフルーツジュース

和食の朝食メニュー例

・カップうどん 1個

・コンビニおにぎり 1個

・オレンジジュース 1杯

・バナナ 1本

エネルギー:750kcal

糖質:150g

洋食の朝食メニュー例

・6枚切り食パン 2枚

(ジャム付き)

・あんパン 1個

・オレンジジュース 1杯

・りんご 1/2個

エネルギー:790kcal

糖質:160g

試合前の補食のとり方

試合開始時刻のスケジュールによっては、理想的なタイミングに食事がとれない。

ってこともありますよね。

午後1時からの試合ですと10時に食事というわけにはいきませんし、また1日に2試合、3試合と連戦のときもあるでしょう。

このようなときは、コーチ、トレーナーなどのスタッフと相談したうえで、大会当日のスケジュールに合わせた補食を用意する必要があります。

試合開始2~3時間前

このタイミングでは試合開始までまだ時間があるので、主食中心の腹持ちがいい食べ物で軽食をとりましょう。3~4時間前に食事をしっかりとれているのであれば、必ずしも食べる必要はありません。

おにぎり

ロールパン、食パン

あんパン

だんご

カステラ

試合開始1~2時間前

このタイミングでは競技に影響を与えないよう、消化のよい食べ物をとりましょう。ごはんやパンなどに含まれるデンプンは消化に時間がかかりますので、果物やカステラなどで糖質を補給します。

バナナ

果汁100%フルーツジュース

エネルギーゼリー

カステラ

まんじゅう

スポーツドリンク

試合開始前の糖質源としては特に果物が向いています。ブドウ糖や砂糖は血糖値を急上昇させ、運動時に反動で血糖値を低下させてしまいますが、果物に含まれる果糖は比較的血糖値を上げにくく、低血糖をのリスクが少ないためです。

※血糖値が低下すると集中力が落ち、それに伴いパフォーマンスが低下します。

また、水分は吸収されるまでに多少時間がかかりますので、試合開始の30分~1時間前までに250~500mLの水分補給を行っておきましょう。

試合直前の補給は注意

試合開始30分前からの糖質のとりすぎには特に注意が必要です。

試合開始30分前に糖質を摂取すると、血糖値が上昇していき試合開始のタイミングで血糖値を下げるホルモンであるインスリンの濃度が最も高まり、運動中に低血糖を引き起こしてしまいます(これを「インスリンショック」と呼びます)。

低血糖とまではいかなくとも、30分前の糖質摂取で持久的パフォーマンスが低下する可能性が高くなります。このタイミングで慌てておにぎりやパンを頬張るのは、本番のプレーにマイナスに働く可能性があります。

試合直前はスポーツドリンクで水分補給をしたりアメをなめたり、エネルギーゼリーを少量とる程度にしましょう。

試合中の栄養補給

試合途中(野球の5回・マラソンレース中・サッカーのハーフタイム)では、スポーツドリンクでエネルギーを補充しましょう。

フルマラソンやトライアスロンを走る場合には補給食は必要になってきます。目安として1時間に1回、100kcal程度のエネルギー補給を行って下さい。100kcalはバナナ1本分の量になります。なので試合とちゅうに

※先ほどもお話しましたが、試合途中での糖質の取り過ぎには十分に注意してください。

試合の合間の食事

1日に2試合以上の試合がある場合、次の試合までどれだけ時間があるかを考え、その時間内で消化できる糖質をとる必要があります。時間のないときは、上記と同様に消化吸収の早い食品を選ぶようにします。

消化に負担のかかるたんぱく質・脂質を排除して、おにぎりやオレンジジュースといった糖質中心の食事にしたことで、競技パフォーマンスが向上したということです。

このことから試合の合間では十分な水分をとり、エネルギー補給にはおにぎり・バナナ・パン・カステラなどを軽くつまむ事をおススメします。

試合後の食事

試合後は蓄えていたグリコーゲンを消費して、疲労が溜まっている状態になります。

このような試合後は食事で糖質とたんぱく質をとり疲労回復に努めることが大切です。

また運動後の体はエネルギー不足を補うために、筋肉を分解してエネルギーを作り出そうとします。それをくい止めるためにも栄養補給は試合後できるだけ早いほど疲労回復には良いと言われています。

糖質とたんぱく質の両方がとれるメニュー例としては、

・卵サンドイッチ+オレンジジュース、バナナ+牛乳

・タラコの入ったおにぎり(疲労回復にいいビタミンB1も多くとれる)

がおすすめです。

夏場ですと疲れもあってなかなか食欲がわかないことも多いですが、エネルギーゼリーや果物など食べやすいものでいいので少なくとも糖質補給だけでもできるとよいでしょう。

なお一般的に疲労回復によいとされているクエン酸は、実は効果があるかは科学的根拠がはっきりしていません。もしサプリメントを利用するのであれば、ビタミンB群やアミノ酸(特にBCAA)などが疲労回復には効果的かもしれません。

普段から食事を大切に


前日だけ一夜漬けの試験勉強をしても結果はたかがしれているように、試合前だけ食事を気をつけていてもパワーやスタミナは付きません。むしろ逆にストレスを与える可能性があります。また、普段朝食をとらないのに試合のある朝だけ食べようとしても、なかなか胃腸が受け付けてくれません。(朝食をとらずに試合に挑むのは論外です)。

そのため主食・主菜・副菜とバランスのよい食事をとる、栄養価の低いスナック菓子などは控えるなど、普段のトレーニング期から質の高い栄養補給を積み重ねることが、勝つための体づくりには一番大切なことです。

食事の効果はなかなか目に見えてわかるものではありませんので、継続するのは強い意志が必要です。しかしだからこそ、1食1食の積み重ねで作られた肉体はライバルに差をつける大きなポイントになるのです。


小さいことを積み重ねるのが、とんでもないところへ行くただひとつの道だと思っています

イチロー

LEADING EDGE

あなたを始めとする家族や親しき方々に美と健康を通じてより豊かになるための力となります。

0コメント

  • 1000 / 1000